音楽とオーディオ物語
○語り部:清進商会 小川進
○発刊第2号
○毎月20日発行

<コンテンツ>

ピアノのお話;私が聴いたピアニスト(マルタ アルヘリッチ);
山水 プリメインアンプ AU-9500の巻


皆さんこんにちは。おかげさまで第2号を発刊することができました。

東京も梅雨真っ最中で雨ふりが多く、つい家にひきこもりがちです。
ふと考えごとをしている自分に気付き、我に返りますが、そんなとき
あの変わったピアノのことも書いてみたいな、あのピアニストも・・・・。
紫陽花の咲き誇るパワーが乗り移ったかのように湧き出てきます。
最初のころ原稿まとまるかなと心配していたことが嘘のようです。
そんなわけで今回はちょっと変わった形状のピアノのお話から始めます。
今回もお楽しみいただけたらと思います。

また、今回「ピアノのお話」に登場するK君ですが、数年前からの
知人で音楽とは全く無縁の人物でこのメルマガの編集を手伝って
もらっています。
彼曰く、「音楽の知識が無いだけに非常に新鮮で、原稿を楽しく読
みながら、編集させてもらっています。」今後もたびたび登場します。
よろしくお願いします。


(ピアノのお話)

今回はちょっと変わった形状のピアノのお話です。

 人間はさまざまな道具を作ってきましたが、道具は機能の充実とともに、
人間が使いやすいかどうかという観点から改良、発展がなされました。

今回は人間の身体に合ったピアノとはどんなものかしら、という発想から
生まれたちょっとおかしいピアノを2点紹介いたします。

 まず、ピアノを弾く姿勢を想像してください。手を前に伸ばしていますが、
この両手を左右にひろげたら、手の描く線は円弧を描くはずです。しかるに、
ピアノの鍵盤の列は直線です。
 鍵盤は円弧を描いて配置されるのが正しいのではないか、ということで、
このピアノは生まれました。たしか、私が見たのはウィーンの博物館だった
と思います。
今でも有名なピアノメーカーのベーゼンドルファー製でした。
 さて、このピアノは本当に弾きやすいのでしょうか。弾いたわけではない
ので、はっきりとしたことは言えませんが、想像するに、たしかに腕の動きは
楽かもしれません。
ですが、目はどうでしょう。人間の目は、寄り目はできても、逆に左右のはじ
に寄せることはできませんよね。
 そういえば、昔、小学校のころ、クラスには耳を動かせる人とか、鼻を動かせ
る人とか、なかには頭の皮を動かすなんて人もいました。でも、逆寄り目はいま
せんでしたね。やはり、できないようになっているんでしょうね。
 それを思うと、やっぱりこのピアノは弾きにくいような気がします。
 
 次に、今度は歩いていることを想像してください。手を前後に振っている時、
この手の向きはどうなっているでしょうか。手のひらが内側に向いているはず
です。前へならえ、とかあるいは、手を合わせて拝む時とか、両手は手のひらを
合わせる方向になっています。

 してみると、そもそも、鍵盤が水平方向に並んでいることがおかしいということ
になります。
 そんな発想から、この全く画期的な垂直鍵盤ピアノは生まれました。
話には聞いていましたが、友人からもらったニューヨークの楽器博物館の本に
写真つきで紹介されていました。

 垂直方向に両側に鍵盤があり、左右の手で挟むようなかっこうで演奏します。
アコーディオンを二つ裏側を貼り合わせて、縦に置いたというような感じでしょうか。
さて、このピアノの弾き心地はどうでしょうか。腕の重さが使えないのでとても疲れ
そうな気はしますが。それよりなにより、このピアノは左右両側の鍵盤を同時に見
ることは不可能ですよね。

 でも、ご安心ください。この画期的な発明はその問題を見事に解決しております。
どうやったかといいますと、左側の鍵盤の横に大きな鏡が置いてありました。
右手は鍵盤を見て、左手は鏡に映る鍵盤を見て弾こうというのです。
これには感動いたしました。
 ただ、実際にうまくできるのかどうかはおおいに疑問です。
でも一度弾いてみたかった。

それにしても両方のピアノに共通して言えることは全てが満足するものを作ることは
できないと言うことですね。まさにあちらをたてればこちらがたたず。だからといって
その努力が無駄ということではなく、作者の情熱、情念が歴代のピアニストの陰に
あってピアノを発達させてきたと思います。
ピアノに人生の縮図を見た、そんな感じでしょうか。

(K君コメント)
垂直鍵盤ピアノの絵は私のペイントブラシの力量を超えており描けませんでした。
もう少し修行して出直します。すみません。弓状鍵盤ピアノの絵も4回ほど描き
直しましたが、拡大表示でドットを塗りつぶしながらもっと細かく描けばよかったと
反省しております。4回も描き直せばもっと良く描けるだろうにという声が聞こえて
きそうですが・・・・・・。^^;


(私が聴いたピアニスト)
第2回 マルタ アルヘリッチ 
Martha argerich(1941?)

黒いロングドレスに長い黒髪、ツカツカと早足で舞台に現れたと思うと、
おじぎもそこそこに長い髪を一閃すると、すわるかすわらないかのうちに
もう弾き始めていました。
このような、コール ミー クイーン!(女王様とお呼び!)状態の初来日
でした。35年ぐらい前のことです。
天は二物を与えずなどと申しますが、 たまに彼女のように二物も三物も
与えられた人が現れるんですね。美貌に加えて何万人に一人というよう
な運動神経と音感、それよりなにより瑞々しい情感と一心不乱の情熱が
彼女の演奏の特徴です。
美人女流ピアニストの条件がすべてそろっています。
ただ、物さえ言わなければ・・・。
数年前、ヴァイオリンのクレンメルと競演した時、二人でインタビューを受け
たことがありましたが、クレンメルがアルヘリッチのあまりに直裁な発言を
フォローすべく、汗をかきかき努めていたのが印象に残っています。

 そんな彼女が最近、親子ぐらいに年下のキーシンと連弾をしました。
この本当に素直な天使のような青年ピアニストがただ一生懸命弾く横で、
いかにも嬉しそうに伴奏パートを弾いていた彼女の母親顔が私にはとて
も嬉しかったです。

ご感想、ご意見などどしどしお寄せください。
お便りはこちらまで。


☆お店の人気商品のお話

山水 プリメインアンプ AU-9500

山水なんて、ずいぶん風流な名前ですね。
もともとはトランスのメーカーだったそうです。真空管のプリメインアンプの
AU-111は雄大な音なんていわれて名器でした。その山水が1975年ごろ
つくったのがAU-9500でした。この間久しぶりに入荷したので聴いてみました。
まあ澄んだきれいな音とかはいいにくいのですが、なにか生々しい音と申しま
すか、とても懐かしい感じがしました。
ナットキングコールとかジュリーロンドンかなんかのヴォーカルを聴いたら、生で
聴いているような感じがするのではないかしら。そんなところがその渋い外観と
もあいまって根強い人気の秘密なんでしょうね。その山水電機はオーディオは
もう作っていないそうです。修理はまだやっていますが、なんとかがんばっても
う一度オーディオの名器を作ってほしいものです。
カム バック!!さんすい!!