音楽とオーディオ物語
○語りべ:清進商会 小川進
○発刊第71号
○毎月20日発行

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<コンテンツ>

☆ピアノのお話;
☆私が聴いたピアニスト(ペーター シュライアー);
☆みのるくんの雑記帳;
☆お店の人気商品のお話(ラックス LX33)


<片付け?>

 皆さんこんにちは。大分春めいてきて暖かくなってきた今日この頃です。
さて、私事ながら引越しをすることになりました。ところが引越し先のマンションでは
今以上に収納がなく、物を片付ける、整理するといったレベルではなく、捨てる、
ほとんど捨てる、ということで私の荷物はミカン箱一杯程度と我が家のCEOからの指示。

戸棚の中に無造作に突っ込んである夏物の服はまだしも、困るのは書籍、不要なものを
紐で束ねようとするのですが、ついページをめくるとそのまま読みふけってしまい、
何をしていたのかわからなくなる始末。

そういえば2問目から既に解けない問題があって次のページに進めないクイズ本(決して
解答は見ないと心に決めたもの)もあり再度チャレンジ。しばらく自己嫌悪に陥りつつ、
また封印。やはり一生解けないのでしょうか?こんな本や、興味を引いて後から読もうと
衝動買いした本、これなら勉強する気になるなと買った本、etc、それぞれに思惑あり。

棄てるのはたやすいが買い戻すには高い。とはいえ置き場所が無い!!!。この閉塞的な
状況で積み上げた本の山をぼうっと眺め、はや数時間が経過。解決の糸口すら見出せない
まま、また次の本のページをぺらぺら。そこへ買い物から帰ったCEO、開口一番、

「これ全部棄てるんだよね。」「そこにビニール紐あるからね!」
私「・・・・」しばらくの沈黙の後、また全部戸棚の中へ。

「あんた一日何してんのぉ?」「この前とちっともかわってないじゃん。」

「見ればわかるだろ、ど、読書だよ。当たり前のこと聞くなよな。」

このままでは強制撤去、強制廃棄の憂き目に・・・・。いったいどうしたら・・・・・!?
途方にくれて、日が暮れて、今日も疲れてただ眠る・・・・。

(byみのる) 


(ピアノのお話)

モーツアルト クラリネット五重奏曲 K.581

 モーツアルトのクラリネット五重奏曲は、前回のテーマであったブラームスのクラリネット
五重奏曲と一緒にCDに収まっているものが多数あります。モーツアルトとブラームスが
一枚のCDに収まるのもなかなか珍しいことです。モーツアルトの時代にも、約百年後の
ブラームスの時代にも、ともにクラリネットの名手がいて、作曲者を感動させたのです。

その結果、この二つのクラリネット五重奏曲の名曲が生まれたわけで、その後のクラリ
ネット奏者は作曲者を感動させた名手に感謝しなければなりません。(モーツアルトには
もうひとつクラリネット協奏曲という素晴らしい曲があります。)

K581

モーツアルトのクラリネット五重奏曲では、まず冒頭の弦によるテーマの柔らかく優しい
表情にうっとりと聞き惚れます。そしてやや明るさが増してリズムが弾みだしたところで、
クラリネットが朗らかな調子で登場します。この進行の素晴らしさは、まず冒頭から聴く者の
心をとらえてしまいます。

楽器のキャラクターを使いこなすことがとても上手かったモーツアルトですが、特に木管
楽器の取り扱いは抜群です。この曲でもクラリネットの持つ、柔らかさ、明るさが十分に
活かされ、弦楽器との掛け合いでしっとりとした世界を築きあげています。

赤ちゃんに聞かせる楽器は、クラリネットが最も良いのだと聞いたことがあります。そして
作曲者は断然モーツアルトですから、私は孫ができたら、モーツアルトのクラリネット協奏曲と
クラリネット五重奏曲のはいったCDプレゼントしようと決めています。(ブラームスの方は少し
人生経験を積んでからがいいと思います。)モーツアルトのこの曲は確かに赤ちゃんに聞かせ
たいような、明るさ、柔らかさ、朗らかさを持っています。

しかし、この曲は又、おじいさんが聞くにも十分な優しさがあります。優しさは悲しみを知る者に
しかありえません。この曲はまた、十分に悲しみを含有しています。あのブラームスのクラリネット
五重奏曲の悲哀に満ちた世界にひたった後で、このモーツアルトを聴くのが良いのではないかと
思います。

60歳手前のブラームスの心の傷を、百年前の当時33歳のモーツアルトが慰めているというような
構図でしょうか。大抵のCDは、モーツアルト、ブラームスの順に並んでいますが。


(私が聴いたピアニスト)第71回

ペーター シュライアー Peter Schreier(1935〜)


 ドイツのテノール、ペーター シュライアーのモーツアルト歌曲集のCDを聴きました。シュライアーは、
柔らかな美声と上品な詩情で人気を博しました。例えば三大テノールといわれるパバロッティー、
ドミンゴ、カレーラスなどと比べると派手さには欠けますが、そのしっとりとした味わいが私は大変
好きです。



モーツアルトの歌曲の中でも、私は「夕べの想い」という曲が大好きです。シュライアーはとても繊細に
この曲を歌っています。2小節の前奏に続いて、最弱音で歌い出されるのですが、歌声には豊かな
情感が含まれています。あまりドラマチックではない曲ですが、その代わり心情の明暗の移り変わりが
見事な曲です。

シュライアーはそのあたりを歌声の明暗によって見事に描き出しています。やはり声楽は人間の体に
最も近い楽器というか、身体そのものから発する音楽であって、自然に感情の動きが声色として現れる
のを、楽器を扱う者から見ればうらやましいとさえ感じます。

シュライアーの歌唱から伝わってくるのは、ただただ心優しい世界です。強さも重厚さも必要はありません。
心優しい世界は実に居心地の良いものです。モーツアルトの優しさを、心優しい男性が歌い上げたこの
一枚のCDは永く遺してほしいものです。


☆みのるくんの雑記帳☆(白熱電球の終わり)

皆さんお元気ですか。最近、ちょっと長めに歩くと、足の裏が痛くなり身体も重く感じ、年を取ったなと
感じる今日この頃です。とはいえ、まだまだ人生終わるわけにはいかんなどと思っていると、
目に付いた記事がありました。白熱電球の生産終了の記事です。

「東芝グループの照明メーカー大手「東芝ライテック」(本社・神奈川県横須賀市)は17日、地球温暖化の
原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するため、一般向け白熱電球の製造ラインを停止した。
生産拠点である栃木県鹿沼市の鹿沼工場で製造中止式典があり、東芝の発祥事業の一つである白熱
電球の製造開始から120年でその歴史に幕を閉じた。(毎日新聞)」とありました。

電球の発光原理は、その元になるフィラメントに電気を流すことで2000度近い温度まで発熱し、同時に
やや赤みを帯びた白色光が発生すること
を利用しています。先の理由からエジソンが発明した白熱電球は
幕を閉じ、最近では発光ダイオードが台頭してきました。これは熱と光が同時に発生します。ただ、エネル
ギーのほとんどは熱に変わってしまいます。

現在の交流システムを発明したニコラ・テスラと電球の発明者エジソンのエピソードで面白いものがありました。
エジソンの有名な名言「天才は1%のひらめきと99%の汗(努力)」をニコラ・テスラは皮肉って「天才とは、99%の
努力を無にする、1%のひらめきのことである」テスラはエジソンの行った実験を理論的に考察すれば無駄を
ほとんど省けたと言っていたとか。

白熱電球にとってかわる発光ダイオードの原理はエコかつ原子物理学の申し子のような発明で、私は
テスラよりな発明のひとつだと思います。そのスマートさは相通じるものがあるように思います。白熱電球は
いうなればマッチの火を灯して明るくする延長線上にあるものだと思います。これに比して発光ダイオードの
原理は下にそれを示します。わかりやすいものがありましたので拝借しました。


提供:新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)

「半導体ダイオードのpn接合に電流を流すと、n形半導体の電子がp形半導体域に、p形半導体の正孔がn形
半導体域に拡散する。これらの電子と正孔はそれぞれの領域にある正孔と電子と再結合するが、その際、
半導体の禁制帯幅に応じたエネルギーに対応する波長の光を放出する。」とありましたが、禁制帯云々という
言葉がわかりづらいと思います。簡単に言えば正孔と電子の持っているエネルギーの差が光となって放出されると
考えればいいと思います。

何とも神秘的ではありませんか?特に青色ダイオードの光はじっと見つめ続けてしまいそうな不思議な輝きを
放っています。


(by みのる)


☆★お店の人気商品のお話★☆

ラックス LX33

 ラックス製、真空管式プリメインアンプLX33です。出力管は6CA7(EL34)です。この真空管は
とてもよく使われた真空管で、現在でも比較的入手しやすいです。マランツの真空管アンプは、
全部6CA7でした。LX33はラックスらしい繊細な味わいのあるアンプです。

LX33

LX33

上から見ると真空管が見えます。とても風通しがよくできています。なにしろ真空管アンプは熱が
出ますので、放熱がよくできるよう工夫してあります。前面もなかなかスマートなデザインです。
アンプは前から見たのでは、真空管式か、トランジスター式かわかりません。よくお客様から
真空管なのかトランジスターなのか聞かれます。

LX33

そんなとき真空管式アンプだとか、トランジスター式アンプだとか長ったらしいので、大抵のお客様は、
球のアンプ、石のアンプというように言われます。「これ、タマ?イシ?」これだけで通じます。
昔は、使われている真空管の数の単位を球という言葉で表し、例えば五球スーパーというような
使い方をしました。

トランジスターの方は、最初の頃は数を石で表し、例えば、トランジスター15石というような言い方を
しました。(玉と石では、玉の方がよっぽど貴重なような気がします。)専門用語というか、仲間うちの
符丁の通じる店です。オープンデッキを見て、「ニトラ?ヨントラ?」と聞かれれば、それは2トラック、
4トラックのことですし、その他にも普通の世間には通じない色々な略語が飛び交っています。ただし、
MPスリーだのアイポッドだのといった新しい言葉は通じないことがあります。

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