弓状鍵盤ピアノのこと
人間はさまざまな道具を作ってきましたが、道具は機能の充実とともに、
人間が使いやすいかどうかという観点から改良、発展がなされました。
人間の身体に合ったピアノとはどんなものかしら、という発想から
生まれたちょっとおかしいピアノを紹介いたします。
まず、ピアノを弾く姿勢を想像してください。手を前に伸ばしていますが、
この両手を左右にひろげたら、手の描く線は円弧を描くはずです。しかるに、
ピアノの鍵盤の列は直線です。
鍵盤は円弧を描いて配置されるのが正しいのではないか、ということで、
このピアノは生まれました。たしか、私が見たのはウィーンの博物館だった
と思います。
今でも有名なピアノメーカーのベーゼンドルファー製でした。
さて、このピアノは本当に弾きやすいのでしょうか。弾いたわけではない
ので、はっきりとしたことは言えませんが、想像するに、たしかに腕の動きは
楽かもしれません。
ですが、目はどうでしょう。人間の目は、寄り目はできても、逆に左右のはじ
に寄せることはできませんよね。
そういえば、昔、小学校のころ、クラスには耳を動かせる人とか、鼻を動かせ
る人とか、なかには頭の皮を動かすなんて人もいました。でも、逆寄り目はいま
せんでしたね。やはり、できないようになっているんでしょうね。
それを思うと、やっぱりこのピアノは弾きにくいような気がします。
byすすむ