クラウディオ アラウ
クラウディオ アラウ Claudio Arrau(1903?1991)
南米 チリの出身です。8歳でベルリンに留学したそうですから、大変な天才少年だったのですね。1911年のことです。あのタイタニック号の進水式のあった年です。(その翌年タイタニック号は氷山に衝突して沈没しました)
私が聴いた時はもう70歳ぐらいだったのですね。その当時、南米からは、アルヘリッチとかバレンボイムといった有望な若手が続出していました。戦禍を逃れてヨーロッパから著名な音楽家が南米に移り住んで、そういった人たちを育てたと言われています。
アラウはそれよりずっと前から、珍しい南米出身の大家でした。南米といいますと、ラテンのリズムとか、タンゴとか、とかく陽気でまた情熱的というようなイメージを持っていました。アラウも大変明るい様子で、ニコニコと軽い足取りで舞台に登場しました。
とにかく、ピアノを弾く姿は楽しそうでした。明るくおおらかな音楽だと思います。特に印象に残ったのは、ベートーヴェンのソナタ「ワルトシュタイン」でした。この曲は一体何回ぐらい弾いたことがあるのでしょうか。お手のもの、といった素晴らしい演奏でした。
この曲の第3楽章の終わりの方にオクターブの音階がありますが、アラウはなんとこの部分をグリッサンド(手を鍵盤上ですべらせる奏法)で弾きました。グリッサンドで弾くこと自体は簡単です。ピアノを弾けない人だってグリッサンドはできます。
ただ、これがオクターブでということになるとまるで話は違ってきます。私はあまりにも驚いたので、早速家に帰ってオクターブのグリッサンドに挑戦しました。そして、これはとてもできるもんじゃない、ということがわかりました。やっぱり、巨匠はすごいですね。
オクターブのグリッサンドはこの手の向きではできません。どのようにするのでしょうか?
byすすむ
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